2019.10.28

自働化の先にある社会

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ロボットやRPAで、肉体労働からも頭脳労働からも解放されると、社会はいったいどうなるのでしょう。

自働化の先にある社会
日本や韓国のニュースで最低賃金の値上げが話題になっておりますが、ロボット社会になった場合、時間に対する労働単価という概念が成り立つのでしょうか?この考えを捨てなければ、企業経営者は、時給の割に圧倒的に効率のいいロボットばかり採用するのはわかりきっています。
そもそも、1日8時間労働というのがナンセンスであり、ロボットで業務の省力化をしてもなぜヒトは労働時間を気にしなければいけないのでしょう。

たとえばRPAのロボットによって効率化できたメリットは誰が金銭的に得をするのでしょうか? RPAよって、業務作業が減った業務担当者でしょうか?それとも、その業務用にソフトウェアロボットを開発した人でしょうか?やはり、RPAを購入し構築させた経営者でしょうか?経営者ばかりが得をするのであれば、貧富の格差はロボット社会ではさらに 拡大してしまいます。
そうなると「労働力を提供し、給与をもらう」という根本の考えから脱却が必要なのかもしれません。たとえば、文化人類学者であるマルセル・モースは、100 年ほど前にポリネシアを調査して、義務としての贈与が社会的な規模で行われており、経済活動が、贈与する義務、受け取る義務、返礼する義務によって成り立っていることを発見しました。こうした原始社会的な義務の贈与は、アメリカやメラネシアなどでも行われていたようで、現代の私たちが当たり前に考えている等価交換や、価値は投入された労働量で決まるをいう概念とは全く違った経済社会が存在していたようです。
現代でも、仮想通貨が登場しトークンエコノミーや、シャアリングエコノミーなど、共感や感謝などを可視化する違った価値観も話題になってきています。「労働価値」が今までの考えのままでは、ロボット社会になった場合、資本主義経済に対しても大きな不安が残るので、ベーシックインカムなどの実験も盛んに行われるようになったのでしょう。

社会学者のエミール・デュルケームが提唱した概念に「アノミー」という言葉があります。アノミーとは、伝統的価値や社会基準の喪失によって、社会の秩序が崩壊して、無規範状態や無規則状態になることを示す言葉ですが、労働価値観の変化によって、個人が不安や、崩壊感覚、無力感を味わい、最悪な場合アノミー的自殺も増える可能性もありえます。
近い将来、輝かしい幸せなロボット社会が到来するためには、労働価値について考えてみるのも必要かもしれません。


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[タグ] RPA 用語 Opinion

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