2019.12.16

RPAのベンダーロックインリスク

PDF

RPAが推進されることにより、事務部門でもソフトウェアロボットの作成が始まると、多くのロボットが存在し、それを維持するためにロボットの使用を簡単にやめられないという状況になります。

RPAのベンダーロックインリスク
IT分野ではベンダーロックインという問題は昔からありますが、それはユーザ側でIT のノウハウが少ないためベンダーに頼り、ツールの導入やシステムの開発を委託するというものでした。ITのシステムの開発を任せていたところが提案しているのだから、信頼するしかないというように、その会社を信じ信頼しているからこそ依存しているベンダーロックインであれば、リスクもありますが、信頼して共に共栄するメリットも多いです。この場合は、ユーザがベンダーに任せるウエイトが多いため、信頼関係さえあれば、他に選択肢がなくてもあまり困ることはありませんでした。

しかしながら、最近のシステム開発は多様化してきました。オープンソースを使い、ベンダーロックインを避けた開発をする企業も増えてきましたが、現在導入が進む多くのRPA は、ベンダーが提案する有償ツールを使用した開発がほとんどです。
RPAの問題点は、ツールとはいえパッケージソフトとは違い、パラメータの設定だけで使用できるシステムとは違うことです。結果的には、有料の開発言語でロボットを開発して、ブラックボックス化しているようなものです。
メインフレームが全盛だった時代には、アセンブラやCOBOLの開発言語を使いこなすには、かなりの技術力が要求されたため、数多くの有料の簡易言語型の開発ツールが出回りました。簡易言語なので、現場担当部門でもレポートが出せたりかなり重宝がられたものです。但し、数十年経った今でも特に新機能が出るわけではないのに、使用するためのライセンス料や保守料が下がることなく、海外メーカーの中には、M&Aなどが理由でかえって使用料が高くなってしまうケースが問題となっています。
とはいえ、過去に開発したシステムはすでに開発した人はおらず、再度作り直すには手間がかかります。そして、簡易言語で作らたプログラムは、作るのが簡単なので大量にあり、版数管理など行き届いていない場合が多いため、再作成のリスクと費用が膨大になります。

同じような状況が、RPAにも起こりそうなリスクが内在しています。RPAツールがエクセルのようにコモデティ化してしまうレベルであれば割とリスクは少ないのですが、中途半端に簡易言語と同様、そのツール独自の使い方を覚える必要がある場合は、わりと容易にロボット開発ができるためかえってベンダーロックインのリスクが高まります。
最新テクノロジーを活用しながらロボット開発をするためには、この点にも注意が必要です。


← 前のページ→ 次のページ

[タグ] RPA Opinion

[関連]


▼業務自動化やセキュリティ対策に関するご相談は、お気軽にお問合せください RPA概説お問合せ