システム保守・運用の効率化に必要な可視化


システム開発が完了し業務システムが稼働し始めれば、その後はシステムの維持管理が必要となります。IT予算の8割近くがこの維持管理に投入されている現状を踏まえると、DXなどの新規開発への投資予算を拡充させるためには、システム保守運用を効率化することが、とても重要だということがわかります。

一般的には、システムの「保守」は、業務システムなどに異常が発生した場合のトラブル対応や、システムの改修などをするための作業を指し、「運用」は、システムの安定稼働を維持するための監視など、定型化したオペレーションが主な役割となります。
こうした作業であるため、既存で稼働しているシステムの保守、運用を効率化するには常にシステムの中身を把握しておかなければなりません。
最初にシステムが稼働してから、長期に運用していると、業務によっては何度もシステムの改変が行われます。 当初作成したご業務フローチャートに反映されていないため、ドキュメントとして残されていた業務フローが、実際に稼働しているシステムと内容が違っていたりすると大きな問題となります。そうでなくても、変更情報が蓄積されていくと、変更箇所が継ぎ接ぎだらけで業務プロセスの実態が見えづらくなり、システムに不具合が起きた時に上手く対処できないリスクが残ります。

このようなリスクを回避するためには、何か不具合が発生しても迅速に障害対応や、影響分析が実施できるよう、稼働しているアプリケーションを最新の状態で可視化し、様々な角度で分析できる仕組みが望まれます。
具体的には、稼働しているアプリケーションのプログラムソースをインプットとして、誰が何のために、いつどんなデータを扱い、どのような処理をしているのかを可視化できることが最適です。 業務アプリケーションのプログラムソースをもとに自動生成されたフローチャートは実態を表しています。これが、日々実行できる仕組みがあれば、常に最新の業務プロセスのフローを確認できます。
加えて、どのデータがどんなデータベースから生成されているのかや、どのデータがどこの処理で使用されているのかなど、データベースの構成と、プログラムとの関係がクロスリファレンスできる仕組みがあれば、現状分析や影響分析の正確性も増し、さらにそれを図を使って関連性などをビジュアル化できれば、障害対応も迅速に行えます。

長期にシステムの保守運用が必要なことを考えれば、面倒であっても、全社で標準的にそうした仕組みを構築しておく方が、圧倒的に、保守や運用の効率化が図れます。安定稼働が望まれる業務システムにとって使用しているアプリケーションの可視化ができない状況では、すでに開発当時に携わったメンバーがいないとブラックボックス化したレガシーシステムが誰も対処できないなど、障害発生時に会社の事業継続にも影響が出る可能性があります。誰でも分析や対応ができる仕組みがあれば、該当する業務知識がある人が入れ替わっても安心でき、人的なリソース確保の点においても大きく貢献します。
事業規模にもよりますが、自ら仕組みを作るのは時間もかかり、ノウハウも必要なためおおきなシステムになればなるほど、アプリケーション可視化のツールを使って運用することはかなり有効な手段となります。


システム保守運用の効率化には、まずアプリケーションの視える化が必要


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