スパコンは遂にエクサスケールの時代へ


2020年から4期連続で1位だった富岳を破り、2022年6月の第59回のスパコンTOP500では、米国オークリッジ国立研究所のフロンティアが1位を獲得しました。
衝撃だったのは、このフロンティアが、富岳の442PFlop/sの2倍以上である1.102Exaflop/sというとてつもない処理性能をたたき出したことです。Exaflop/s(エクサフロップス)は、1秒間に100京回の浮動小数点演算を意味し、京とは1兆の1万倍なので、100京ともなると1兆の10億倍というあまりにも途方もない数字です。

シンギュラリティという言葉が流行りだした頃、2014年の齊藤元章氏の著書「エクサスケールの衝撃」によって、スパコン京の処理能力の100倍を意味するエクサスケール・コンピューティングという言葉に、人々は夢のような期待を抱いていました。
シンギュラリティは、カーツワイルの影響で2045年頃といわれていますが、「エクサスケールの衝撃」によると、エクサスケールのスパコンが誕生することによって、2030年頃までにプレ・シンギュラリティが到来し、G(遺伝子技術)N(ナノテクノロジー)R(ロボット技術)が革命的に進歩するGNR革命によって、エネルギーがフリーになり、生活のために働くことが不要な社会となり、人類の不老が現実化してくるなど夢のある素晴らしい未来が予想されています。
このエクサスケール・コンピューティングが実用化されてくると、AIによる大規模なシミュレーションがリアルタイムに実行可能になり、次々と難解な社会問題が解決され、不老を得る人類には、新しい価値観が生まれるということです。
現時点では、まだ、不老は実現できていませんが、スパコンが様々な病気の解決に役立っているのは確かです。エクサスケール・コンピューティングが成熟することによって、衣食住がフリーになるという予測は、少なからず着実に実現に向かっているような気がします。

Top500のリストでは、エクサスケールを達成しているのは、フロンティアのみに見えますが、すでに中国では数台エクサスケールのスパコンが稼働しているとも言われており、日本の富岳も別の計算方式では、すでにエクサフロップスを超えております。
つまり、もう時代はエクサスケール・コンピューティングが当たり前になってきたということです。エクサスケールのスパコンがあれば、今まで計算できなかった難題も解け、解明できなかった病気や、気象予測、宇宙や生物の謎などあらゆる分野での活躍が期待されます。

何より、処理能力の向上によって、より人間の脳に近づいたAGIの開発にも期待が持てます。スパコンとネットワークの能力向上により、クラウドでエクサスケールのマシンが容易に使用できるようになれば、膨大なデータから瞬時に判断して操作する必要がある自動車運転なども、道路の混雑状況なども加味して、人間が判断する以上に効率的な動きが可能になるでしょう。


エクサスケール・コンピューティングが新しい価値観を創生する


AI, AGI, スパコン