DX実施後の保守・運用に関するポイント


DXを推進し実施した後には、そのシステムを保守し運用することについて、いくつかの課題が想定されます。リスク評価する上でも、その想定されるポイントを整理しておくことが、DXの推進にとっては必要です。

1.システムの高度化、複雑化
DXでは、最新技術によってシステムが高度化され、既存の業務プロセスを自動化するためなどに、かえって複雑なシステムとなってしまうことがあります。RPAを実施した大規模なシステムでは、そのRPAツール自体のバージョンアップや保守管理についても専門的な知識を必要とすることがあり、運用が従来より複雑で難しくなるケースもあります。

2.セキュリティリスクの増大
DXで導入されるシステムやアプリケーションには、重要な業務情報が含まれることが多く、当然ながら適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。新規の業務システムはもちろん、新規採用したRPAツールやクラウドサービスなども、各組織のセキュリティポリシーに照らし合わせ対策し、あらたに定期的なセキュリティのアップデートや監視も必要となります。

3.データ品質の管理
DXではビッグデータを活用したAIや処理性能の向上のために、取り扱うデータ量が増え、その上膨大なデータが生成されることもあります。そのため、データの収集、加工編集、保管、品質管理について適切な対策が必要です。また、データクレンジングも日々監視し見直しを行わないと、データの誤った解釈や誤った扱いによって、自動化されている部分などが特に、業務処理を行う上で重大な問題が生じることがあります。

4.システムの可用性とパフォーマンス
DXによって稼働したシステムやアプリケーションは、常に可用性が求められます。そのため、障害が生じた場合には、迅速に対応する必要があり、システムのパフォーマンスが低下すると、業務の遅延や中断が発生する可能性があるため、システムのパフォーマンスも重要視すべきポイントです。そのためにも当然ながら、新規のシステムに最適なバックアップ方針を決定し、迅速にリカバリーできる仕組みで運用することが必要になります。

5.ユーザ教育の継続
DX実施後の新しいシステムやアプリケーションについても、業務担当者がシステムを正しく使用できるように、適切なトレーニングを実施する必要があり、トレーニング後も、定期的なサポートや継続的な教育が必要です。 この部分も運用の中に組み入れ、継続していかないと担当変更や、障害時の対応などで業務に支障をきたす恐れがあります。

こうしたDX実施後の保守運用に関する課題に対して、DXを実施する前に想定されるリスクを洗い出し、分析し、実施前に対応策を考えておくことを忘れないようにすべきです。そのためには、運用マニュアルの整備や、場合によっては保守・運用を効率化するためのツールの導入なども有効です。

機能改善を行ったDXの業務システムでは、ユーザのオペレーションが楽になる分、システムの自動化によってその業務プロセスの内容がブラックボックス化されてしまうリスクも伴います。新たに稼働させる業務システムでは、保守・運用の効率化も考え、業務フローをドキュメント化し、業務プロセスの視える化をすることも、課題で見えてきたリスクを減らすためにとても有効です。


DXの保守・運用の課題は実施前に対策を練る


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