記録をするということ


ログをとるということ、すなわち記録するということは、具体的には、ある情報が安定した状態に保たれている、つまり情報が保存された状態を指します。現代の情報化社会では、ログのイメージは、デジタルデータを記録媒体で保存したものですが、アナログデータであっても、昔から記録は可能でした。コンピュータのない時代には、たとえば古代のラスコーの壁画とかは、牛や馬の絵が描かれており、目にしたものを描写しているため現代の私たちにも当時の生活の一旦を伝えることができています。

ログをデジタルデータで保存する目的は、コンピュータでそのデータを情報処できるからです。そもそも、デジタルとは指をおって数えれるようなはっきりした整数のような数値のことであり、具体的には、デジタルデータは、コンピュータ機器やデータ伝送デバイス等で使用される情報を、デジタル信号として0と1の数値で表したものになります。アナログ信号の場合は、信号の電圧や電流、または周波数を変化させて情報を表しますが、たとえば縦軸を電圧、横軸を時間のグラフグラフにすると滑らかで連続的な曲線を描きます。これに対して、デジタル信号の場合は、電流や電圧の変化、磁気記憶媒体の磁化などによって、0か1のどちらかの二つしかない角張ったグラフになります。この際、デジタル回路は、一般的に1ビットを0と1で扱うバイナリ方式を採用して、そのビットの集まりを決められたルールに従い数値などを表現しています。例として、16ビットのシステムでは、2の16乗の種類まで数値表現できます。このように、ビット集まりを用いて、文字や色、音などを表現することも可能であり、一定の法則に従ってデータを編集することがアナログデータより簡単なため、コンピュータで処理するためには、アナログのデータも、わざわざデジタルデータに変換するわけです。

デジタルデータであれば、0と1なので、切れ目もはっきりしており、一定の量を区切って同じような配列をすれば、同じ数値になります。これはデータ処理、つまり計算にはとても適しています。このような数値の並びであれば、こういったものを表現していると理解できれば、コンピュータはそれをコピーしたり、移動したり、編集したりして、人が理解できるデータに変換処理できます。つまり、アナログデータであれば、5感で感じられた表現方法も、一旦デジタルデータに変換して、ネットワーク回線を通じて遠隔地にデータを伝送し、別の場所で、同じように人が理解できる画像や音に戻すようなことができます。
ログ管理で使用するログデータも、デジタルデータに変換して収集されるため、どの機器が、いつ誰によってどんな操作をしたかなどを記録し、処理の対象にすることができます。これがアナログデータであれば、どれほどコンピュータが技術的に進歩したとしても、間違いなく正確に同じ処理を高速で行うことはできないでしょう。

デジタルデータのおかげで、膨大な量の情報を記録することができ、それが過去の知識ベースとなり、予兆検知などにも活用することが可能になります。デジタルデータであれば、コンピュータによって、様々なものが表現できる可能性が広がります。0と1の電気信号でその時の状態を記録することができるなんて、このまま膨大なデータ量の情報を保存し、高速に処理できる技術が増々向上すれば、将来特定の人の人生を再現し、クローンに同じ人生を歩ませるようなことができる時代が来るかもしれません。


デジタルデータとしての記録が、ログ管理を可能にしている


記録