サイバープロパガンダの見えない恐怖


ウクライナ政府サイトを装った複数の偽のサイトが見つかり、ロシアによる武力侵攻より前から、この偽政府サイトからウイルス拡散などのサイバー攻撃が行われていたことが明らかになっています。
たとえば、ウクライナ大統領府の請願サイトを開くと、黄色く目立つ「請願に署名を」のボタンが表示されクリックすると、pdfを偽装したzip形式の圧縮ファイルがダウンロードされ、その中身は「トロイの木馬」のようなウイルスだったとのことです。
こうしたケースのサイバー攻撃ではまず想定されるのが、ウイルス感染したPCを踏み台にしてDDoS攻撃を行うためというものですが、その目的としてユーザのSNSのアカウントを乗っ取ってフェィクニュースの拡散を行わせようとすることも理由にあるようです。

サイバー攻撃には、特定の政府関係者を狙った標的型攻撃もありますが、近年特に目立つのがサイバープロパガンダの波状攻撃です。
プロパガンダは、国家や政治活動化などの組織が、特定の思想に一般大衆の意見を誘導し世論を操作する宣伝工作のことなので、サイバープロパガンダは、インターネットなどを通じITの技術を使って、出来事を真実と違う方向へ操作したり、世論を自分たちの都合のよい方向に誘導することと言えます。
もともとは、ラジオ放送がプロパガンダツールとして使用され、その後、視覚的にも影響があるテレビ放送が主流でした。今では、スポンサーの意向に沿った情報しか流せないテレビの偏向報道に警戒している人や、テレビ離れもあり、インターネットのメディアや動画サイト、SNSなどで拡散した方が人々が信じやすいため、そうしたものを利用したフェイクニュースが、素早く世論を変えることができる強力な手口となっているようです。

サイバープロパガンダは、諜報活動の一環として保護されたシステムに侵入し機密情報を窃取するデータベースへのハッキングや、IT機器の乗っ取りなどの様々な手法も絡めて、フェィクニュースの拡散が行われているため、一般の人には何が真実かわからなくなってしまいます。嘘も、SNSなどで拡散され、大量に流布されれば、それは真実として信じられてしまいます。

ITのAI技術レベルが取り入れらているフェイクニュースは、偽造した動画や、音声も本物そっくりで見分けがつきません。もし、そんなフェイクニュースがテレビやインターネットのメディアで流されているのだとしたら、みんな信じてしまいます。
たとえば、祖国を離れないと言って頻繁にSNSで投稿しているウクライナ大統領の動画や写真の背景は、合成であると噂になっていますが、それさえも敵に居場所を知られないために必要なことなので編集しているのは当たり前だという意見もあり、こうなるとフェィクニュースの定義さえ難しくなっています。
また、ニュースサイトのファクトチャックを行っている組織でさえ、スポンサーの資金提供によって運営されているなど、これでは何が真実かを確かめる術さえなくなってしまいます。
このサイバープロパガンダは、戦地から遠く離れていても安心ではありません。現在、日本のメディアのほとんどが、ロシアを一方的に悪者にしてウクライナの同情を煽る報道一色に染まってしまっています。もちろん軍事行動を肯定できるものではありませんが、こんなに一方方向に偏った報道は、何かの意図でプロパガンダが行われているのではと疑うべきではないでしょうか?


サイバープロパガンダは、進化し浸透し拡大している


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