クラウド時代に入ったスーパーコンピュータ


毎年2回公表されているスパコンのTOP500において、第62回版(2023年度11月)でのランキングでは、前回まで2位だった日本の富岳を押し下げ、米国のスパコンが上位3位までをすべて独占しました。

2020年以降4回も1位を独走していた富岳を昨年2022年に打倒し、ランキングの中で唯一エクサスケール(1.194EFlops/s)の性能をたたき出しているFrontierは、今回も王座に君臨しておりますが、注目すべきは、2位のAuroraと、3位に食い込んだEagleです。
2位のAuroraは、2EFLOPS(Exaflop/s:エクサフロップス)を超えるポテンシャルで期待されており、現在試運転中のため最終システムの半分の測定値で提出されての2位ということで、来年にはFrontierを抜いて1位になる可能性が大きいです。Exa(エクサ)は10の18乗なので、EFLOPSは、1秒間に100京回の浮動小数点演算となり、京が1兆の1万倍であることから、100京だと1兆の10億倍というとてつもなく速い処理が可能ということになります。現在1位のFrontierが、AMDのチップをベースにしているのに対し、そのAuroraが、Intelベースなのが今後の激闘を予感させます。

特筆すべきは、3位のEagleがMicfosoft Azureだということです。スパコンのTOP500で3位というのはクラウドシステムとしては初の快挙です。Microsoftは、OpenAIに100億ドルも投資して世間を賑わせた会社で、Microsoft 365 CopilotなどかなりAIとクラウドに力を入れていることが十分感じられます。これにより、クラウドによるオンラインでのスーパーコンピュータの使用がますますAI利用の幅を広げて、今後更に進化していくであろうことが当然ながら予想されます。
EagleもIntelベースではありますが、NVIDIAのH100アクセラレーターを使用していることからも、AIで活躍しそうなスパコンであることが特徴でもあります。NVDIAのGPUは、以前はゲーミングマシンのイメージが強かったのですが、ChatGPTなどの生成AIによって現在非常に活況を呈しており、昨年末に比べ、株価も約3倍の勢いです。

AmazonやGoogleも独自のスパコンをクラウドで提供しているようですが、スパコンのクラウドでの使用はどんどん進んでいっております。富岳などのスパコンでさえAWSと提携したりと、クラウドによって一般企業にとってもスパコンが身近になってきています。
クラウドサービスでスパコンが使用できるようになると、大資本が必要だったスパコン保有に関する負担が必要なくなり、幅広く多くの企業や組織が容易に使用できるようになります。
今後使用する業務サービスが、実際はスパコンで動いていることも、AIが動いていることも全くわからない自然な状態でクラウドサービスが身近になり、業務効率も向上し、豊かな生活が送れるようになるでしょう。


スパコンは、クラウドでのAI活用に貢献


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