監査ログの管理ポイントとは?


企業が取得すべきアクセスログや認証ログ、システムログ、アプリケーションログなどの中で、監査を目的としたログを監査ログと呼びます。
監査は、外部監査と内部監査の2つのタイプがあり、外部の監査人の評価を受けることによって法的要件の遵守など透明性と信用性が高まり、内部監査で不正や誤りを防ぐためのプロセスや、セキュリティポリシーの遵守など、内部統制が効果的に機能しているかどうかを評価する役割も果たします。

監査ログと、エラーログや操作ログなどの通常のシステムログとでは、ログに含まれる情報や、目的、不変性が異なります。たとえば、開発者がトラブルシューティングを目的にしているログは、自由に作成が可能な状態であったりしますが、監査ログでは、監査証跡を変更できないように不変であることを証明できる状態でのログの取得や保管が必須となります。
監査証跡は、一連の監査ログが、追跡可能な状態での特定のシステム上のすべてのアクティビティの連続した記録であり、セキュリティ ポリシー違反や、法的な要求事項や規制に対する遵守状況を示す証拠として利用されます。
主にセキュリティ、コンプライアンス、トラブルシューティングなどの目的で使用される監査証跡の役割は、セキュリティ向上と不正アクセスの検出、コンプライアンスの確保、責任の所在を明確化や、透明性を高めるのに寄与します。そして、アプリケーションやシステムの問題解決、運用の最適化にも役立ち、法的な争いや訴訟対応の際に重要な証拠となります。監査証跡を分析することで、業務プロセスやシステム運用の改善点を特定でき、運用ルールの徹底や業務の正確性を検証するためにも利用されます。

効果的なログの収集、保管、分析を実現するための監査ログの管理において重要なポイントは、以下の通りです。
・監査ログの目的と要件の明確化 業界における規制や法的要件なども考慮しつつ、監査ログの目的や必要性を明確にし、どの種類のログを取得し、どれだけの期間保持するかを定義します。

・適切なログの選択と取得 該当するシステムやアプリケーションの目的に応じたアクセスログ、イベントログ、システムログなどを選定し、必要な情報を取得できるようにします。

・ログの収集方法とセキュアな保存 ログの収集方法と頻度を定義し、外部からの不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策を講じて収集した監査ログをセキュアな場所に保存します。

・ログのリアルタイム監視と収集・分析の自動化 リアルタイムで対象のログを監視し、異常なアクティビティを検出できる体制を整え、自動ログ収集ツールや、SIEM等を使用して、監査ログの収集と分析を自動化します。

・対象ログのフィルタリングと解析 収集したログから必要な情報のみを正確に抽出するため、重要な情報を特定し、不要な情報を削減するようにフィルタリングや解析プロセスを設計します。

・ログの整合性と改ざん検知 監査ログの改ざんを防ぐために、ハッシュ値やデジタル署名を使用して、ログデータの正当性を確保し、ログファイルの整合性と信頼性を確保する手段を実装します。

・アクセス制御とセキュリティ 監査ログへのアクセスを制御し、認証されたユーザーのみがログにアクセスできるようにし、不正アクセスや改ざんを防ぐためのセキュリティ対策を実施します。

・バックアップと保管期間 監査ログのデータを定期的にバックアップし、業界規制や法的要件に適合した保管期間を設定して保管し、必要な場合にログをリストアできる体制を整えます。

・内部監査と評価 内部監査を通じてログの遵守と有効性を確認し、定期的に監査ログの管理プロセスを評価し、適切な改善を継続します。

・セキュリティ教育 従業員に対してログの重要性と適切な取り扱いに関するトレーニングを提供し、セキュリティ意識を高めます。

監査ログの管理はセキュリティ、コンプライアンス、運用の面で非常に重要です。監査ログに対応した適切なポリシーや手順を策定し、専門的なツールやリソースを活用してログの管理を実施することが必要となります。


監査ログに適したログ管理システムが必要


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