電子帳簿保存法の改正とタイムスタンプ


大幅に改正された電子帳簿保存法の施行が開始され、それまで紙で保管していた領収書もスキャナによって画像イメージの電子文書として保管することが必要となってきました。
今回の改正で、タイムスタンプの付与期間が、記録事項の入力期間と同様、最長約2か月と概ね7営業日以内と緩和されました。それに加えて、電磁的記録について訂正又は削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認することができるクラウド等において、入力期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認することができるときは、タイムスタンプの付与に代えることができることになりました。

紙文書と比較して、ネットを使って転送ができたり、膨大な書類を省スペースな電子デバイスに保管出来たりと、電子文書にはいろいとろ利便性が向上する利点があります。ですが一方で、セキュリティを無視した保存では、誰でも簡単に改ざん出来てしまい、またその改ざんに気づきにくいのが弱点です。そのために、電子帳簿保存法上の電子データの保存要件に真実性の確保と、可視性の確保が求められています。その中で、真実性の要件として、タイムスタンプの付与という措置が登場します。
セキュリティの3要素(機密性、完全性、可用性)の中でも、電子文書の完全性を高める技術として、電子署名が「誰が、何を」を作成したかを証明するのに加え、タイムスタンプは、「いつ、何を」作成したかを証明できる技術となります。

タイムスタンプは、時刻認証と時刻配信サービスの総称であるタイムビジネスの認定制度に基づいて認定された事業者が、時刻認証のサービスを実施しており、タイムスタンプを付与することにより、国税関係書類のスキャナ保存による電子文書が、エビデンスとして認められます。ただし、今回の改正で最長約2か月と概ね7営業日以内と付与期間が緩和されたものの、多くの企業にとってタイムスタンプは、費用も手間もかかるためなかなかハードルの高い要件でもありました。
しかしながら、もう一方の「電磁的記録について訂正又は削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認することができるクラウド等において、入力期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認することができるときは、タイムスタンプの付与に代えることができる」という保存要件の緩和は、かなり実現性の高いものになってきております。中小企業でも利用が増えてきた会計のクラウドサービスの多くは、スキャナが無くても、スマホから領収書やレシートを写して画像として取り込むことで、仕訳帳の該当する伝票の添付画像として保管できるように機能拡張してきました。これにより、電子帳簿保存法対応のクラウドサービスを利用すれば、領収書を糊付けしてファイルするより楽になりそうです。
スキャナ保存のみならず、電子取引に関しても、クラウドの電子契約サービスなどを利用すれば、会計サービスと同様、電子文書保管の機能と連動して電子データとして保管ができるので、電子帳簿保存法に対応して紙での出力保管を廃止することができます。

キャッシュレスの流行と同様に、ペーパーレスも業務分野で浸透してきました。そのためには、セキュリティ要件を満たし、安心して使用できる業務サービスが選べるようにITリテラシーを身に着け、電子帳簿保存法に対応した適切なツールを使って業務効率も向上させることが、最も企業にとって有効となるでしょう。


タイムスタンプを気にしない選択がある


タイムスタンブ, クラウド